農地の相続と贈与

農地を相続人が相続する場合(遺産分割協議の後を含む)、農地法3条の許可申請は不要です。

これは、被相続人の死亡という事象により、相互の合意なく所有権の移転が行われるため、許可を取る必要性がないからです。農地法3条の届け出は必要になります。

似たような制度で、生前贈与・死因贈与がありますが、贈与契約においては「あげますよ」/「もらいますよ」という相互の意思の合致があって初めて成立しますので、たとえ親子間での贈与であっても農地法3条の許可が必要になってきます。

一方、遺贈では、相続人への特定遺贈・相続人以外の第三者への特定遺贈・相続人や第三者を問わず包括遺贈の場合で異なります。

・相続人への特定遺贈(どこどこの農地は相続人の何某に遺贈する)は、相続分の指定と同義と見られますので農地法3条の許可申請は不要です。(届け出は必要)

・相続人や第三者を問わず包括遺贈の場合は、遺言により、相続財産全部または一定の定められた割合を包括的に(負債を含んで)遺産を引き継ぐことになりますので、農地法3条の許可申請は不要です。(届け出は必要)

・相続人以外の第三者への特定遺贈の場合は、亡くなられた方の一方的な意思によるものではありますが、相続人と同等権利義務を有する立場ではないため、農地法3条の許可申請が必要になります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です